今回は、ChatGPT(生成AI)を使っていて”あるあるな問題”である出力ブレについて、それが起きる理由と防止策についてお話しします。
「いつも同じプロンプト(命令文)を入力しているのに、まったく同じ答えにならないのはなぜ?」
「昨日と同じ文章を入力しているのに、なんだかちょっと違う答えになる・・・」
そんな疑問や経験があったから、あなたはこの記事をご覧くださっていると思います。
ChatGPTを使っていると、こんな経験は”あるある”なんです!
これは「出力のブレ」と呼ばれる現象。
ただ業務でAIを使っている人にとって、毎回答えが変わるのは困った現象ですよね。
AIに対する信頼性の問題にもつながりかねないと思います。
この記事では、ChatGPTの回答が変わる理由をやさしく解説し、出力のブレを最小限に抑えるための実践テクニックを詳しく紹介します。
プロンプト改善のコツや安定化設定も網羅した完全ガイドとして、あなたのお役に立てれば光栄です。
出力ブレになる理由に関しては『同じ質問でも回答が変わる理由とは?ChatGPTの仕組みをやさしく解説!』の記事👇に詳しく書いています。

🤖 なぜChatGPTの回答は毎回違うのか?
ChatGPTの「ブレる仕組み」は、確率モデルにあります。
ChatGPTの出力が毎回違うのは、実は「意図された特徴」です。
ChatGPTは確率に基づいて言葉を選んでおり、同じ質問でも微妙に異なる結果を返します。
これは柔軟で多様な表現力を生むために必要な要素である一方で、業務や学習用途においては「安定性のなさ」という課題になりがちです。
特に曖昧な質問や条件指定が足りない場合は、モデルの解釈の幅が広がり、回答の方向性が毎回変わる原因になります。
確率的生成モデルの特徴
ChatGPTは「次に来る単語」を確率的に選んでいます。
たとえば、「私は朝ごはんに〜」という文章の続きを作る際、「パン」「ごはん」「スムージー」など様々な選択肢があります。
このとき、ChatGPTはもっとも確率が高い単語を毎回必ず選ぶわけではなく、多少のランダム性を含んで出力します。
これにより、多様性のある出力が可能になりますが、同時に「出力のブレ」が起こるのです。
🧾 出力のブレで困る具体的な場面とは?
出力ブレは、「安定した結果がほしい」現場での不満と課題になりやすい。
出力のブレは、日常的にChatGPTを業務に使う人ほど気になる問題です。
たとえば、ブログの構成案をAIに任せたとき、昨日と今日でまったく違う方向性の提案が返ってきた…という経験はありませんか?
これは業務フローの混乱や、手直しコストの増加につながります。
また、教育や企画書などで「同じ形式が求められる」場面でも、ブレた出力は修正の手間や時間のロスなどの大きなストレスになります。
実際に起こる“困ったシーン”3例
実際に経験するよくある困ったことは、こんなことではないでしょうか。
- 同じフォーマットで書きたい業務メールのテンプレが毎回微妙に違う
- プロンプト検証中、同じプロンプトでも再現性が取れず検証が進まない
- 社内資料でAIを使ったら、提出物の品質が人によってバラバラ
こうした場面で安定性が求められる理由は、作業の「効率化」ではなく「信頼性」にありますよね。
⚙️ ChatGPTの出力ブレを防ぐ修正テク6つ
「毎回違う答え」に振り回されないために──
ここでは、ChatGPTの出力がブレやすい代表的なパターンを6つ取り上げ、それぞれに「なぜそうなるのか」、「どう修正すべきか」、「具体的なプロンプト例」までをセットにして解説しています。
以下のテクニックを実践することで、出力の一貫性が大きく向上してきますよ。
✅パターン①:要約の粒度が毎回違う
ブレの原因:指示が曖昧だと、ChatGPTは「どれくらいの長さで」「どの視点から」要約するかを自由に処理する
文字数や視点(読者層)を明示することで安定化
✅パターン②:構成案が毎回バラつく(ブログ/企画書)
ブレの原因:構成の順序・見出しの深さ・粒度が曖昧だと、モデルが自由に解釈してしまう
「見出し数」「見出し構成フォーマット」を明記
✅パターン③:トンマナ(文体・雰囲気)が毎回変わる
ブレの原因:丁寧語、カジュアル、論文調など、文体指示が曖昧
参考文体を見せる or 明確なトーン指定を行う
✅パターン④:ブログの見出し構成が揃わない
ブレの原因:ナンバリング、マークダウン、Hタグなどの形式指示が曖昧
形式を明示し、フォーマット例を与える

マークダウン形式とは・・・
「文章に見出しや強調、リンクなどの装飾を、簡単な記号で書けるルール(書き方)」です。
たとえば、HTMLのように難しいタグを使わなくても、下の表のような記号を使って読みやすく整えることができます。
表示される見た目 | 書き方(Markdown) |
---|---|
太字 | **太字** または __太字__ |
斜体 | *斜体* または _斜体_ |
見出し | # タイトル (#の数でレベル調整) |
箇条書き | - 項目1 または * 項目1 |
番号付きリスト | 1. 項目1 |
リンク | [表示名](URL) |
画像 |  |
引用 | > 引用文 |
コード(1行) | `コード` |
コードブロック | <br>複数行のコード<br> |
✅パターン⑤:同じ指示でもテンプレートの出力位置や表現がズレる
ブレの原因:構造化されていない自由文プロンプトを使っている
テンプレートプロンプトを使い、変数○○だけを差し替える
テンプレ型プロンプト例:
【目的】◯◯
【読者層】◯◯
【出力形式】ブログ構成 / 表 / 箇条書きなど
【トーン】◯◯(例:やさしい語り口/専門性重視)
【補足条件】◯◯文字以内、SEOキーワード含める 等
↓この条件で構成案を作成してください。
✅パターン⑥:フィードバックしても改善されない
ブレの原因:会話履歴のノイズや、文脈誤解
新しいチャットに切り替える or 会話を段階分割
推奨アクション:
- STEP 1️⃣:「意図を明確に分割する」➡️ 目的、背景、出力形式を分離
- STEP 2️⃣:「出力を1回で求めない」➡️ 下書き➡️修正➡️完成のステップ式
- STEP 3️⃣:「会話履歴を含めず単発プロンプトで検証」
初心者の方向けのプロンプト設計のコツや改善法は、下記の記事がお役に立ちます👇




🔍 出力安定化のためのプロンプト検証法
感覚ではなく“可視化”して安定性を測る方法をしてみましょう。
出力の一貫性を維持するためには、実際に検証・記録する習慣が重要です。
毎回同じプロンプトを複数回走らせ、結果のズレを比較することで、改善点が見えてきます。その改善点を修正する習慣を身に着けてみてください。
出力の比較表を作ってみよう
Googleスプレッドシートなどに「同一プロンプトの出力ログ」を保存し、条件と出力の差異を記録しましょう。
変数や曖昧な記述の有無、時間帯の影響なども分析対象になります。
🗝️ それでも出力がブレるときの対処法
生成AIの出力は、100%制御できないからこそ、付き合い方が大事です。
いくら工夫しても、ChatGPT(生成AI)は完璧にコントロールできる存在ではありません。
その前提で「出力の中から良いものを選び、編集する」という“伴走者”としての視点を持つことが大切ですよ。
モデルと目的を見直そう
モデルやバージョンを見直すことで、出力のブレが改善することがあります。
「目的別におすすめのChatGPTバージョン(モデル)」を比較した表を作成してみました。参考にしてみてください。
✅ ChatGPTモデル比較表|目的別おすすめバージョン
利用シーン | おすすめモデル | 特徴・理由 | 備考 |
---|---|---|---|
✅ 回答の安定性を重視したい | GPT-4(GPT-4o) | 精度・一貫性ともに高く、業務文章・構成案なども安定出力 | GPT Plus以上で利用可(GPT-4o推奨) |
✅ 文章の雰囲気を変えてほしい | GPT-3.5 | 柔軟な言い回しで“ブレ”が出やすいが、多様性のある表現が得意 | 無料プランでも利用可能 |
✅ 毎回違う視点や提案がほしい | GPT-3.5 | 同じ質問でも違った角度で答えるため、アイデア出しやブレインストーミングに最適 | ただし一貫性は低め |
✅ プロンプト精度の検証や検証実験 | GPT-4(GPT-4o) | 条件通りの出力を再現しやすく、ログ比較・A/Bテスト向き | 出力差分を比較しやすい |
✅ プログラミングや数式処理 | GPT-4(GPT-4o) | 複雑なコーディング・構文も高精度で対応 | 演算含む応答も安定 |
✅ スピード優先・軽作業 | GPT-3.5 | 高速応答で雑務・サポート用途に最適 | ブレやすいため指示はやや明確に必要 |
✅ 表・リスト・箇条書きで整理したい | GPT-4(GPT-4o) | 形式的な出力(構造化データ)が得意 | 業務テンプレート生成にも強み |
💡補足
- GPT-4o(オムニ)は、GPT-4の高速・多機能版。迷ったらこれ!がおすすめ👌
- 無料ユーザーはGPT-3.5でも「プロンプトの工夫」である程度制御可能です。
ChatGPTのバージョンやモデル設定が合っていない可能性もあります。
最新モデル(GPT-4oなど)は安定性に優れています。
目的に応じて最適なモデルを選びましょう。
まとめ
大変残念なことですが、現状ではChatGPT(生成AI)の出力ブレを確実になくすことは、不可能に近いです。
生成AIが「確率的な生成」という性質を持つ以上、出力ブレは仕方のない現象と言えます。
しかし、プロンプトの工夫や設定の最適化、検証習慣を持つことで、そのブレ幅は小さくすることが可能です。
あなたが工夫してプロンプトを作ることで、かなりの確率でコントロール可能になってきます。
業務での信頼性向上や検証の効率化を図るために、今回紹介した6つの修正テクをぜひ試してみてください。
あなたと生成AIが、一緒に進化していくためには「ポイントを押さえた意図的な操作」と「解決へ向けた柔軟な対応力」の両輪が必要です。
これを身につければ、あなたのプロンプトエンジニアリングは格段に向上していくことでしょう。
一緒にがんばってプロンプトエンジニアリング力をUPしていきましょう~💪😊